イスタンブールのペテン師と物乞い

イスタンブールは世界中から観光客がやってくる街なので、人をだまそうとする輩も集ってくるようです。昔からの古典的なペテンで、日本人をターゲットにしたものがあると事前に動画で見ていました。それは日本語で親しげに話しかけてきて、お茶をご馳走になったりして、トルコ人の友だちができたと喜んでいたら、そのうちに知り合いがやっている絨毯屋を見に行かないかと誘われ、店に入ったら最後、高額の絨毯を買うまでは外に出してもらえなくなる、というもの。あるいはぼったくりバーに連れて行かれるというパターンもあるらしい。アヤソフィアやブルーモスクのあるスルタンアフメト公園近辺が彼らの出没場所です。

 

 

イスタンブールに着いた初日に早速そういうペテン師と出会いました。サングラスをかけた若い男で、日本語で話しかけてきました。靴が当たったというのがきっかけだったのですが、それもわざと当ててきたのではないか、と後で思えてきました。しつこく何かと話しかけてくるのですが、徹底的に無視していたらやがて諦めて去って行きました。明らかに何か別の意図があって話しかけてきたのがわかります。

 

旅行の最終日にその公園でまた同じ男に話しかけられました。向こうはこっちのことを覚えてなかったようです。何にしても外国で日本語で話しかけられたら、ちょっと用心した方が良さそうです。

 

イスタンブールでは物乞いにも出会いました。が、それらしくない物乞いです。

街を歩いていてすれ違いざまに突然英語で話しかけてきたおばさん。母親らしきおばあさんと一緒です。「ママがお腹がすいているの。お金をください。」手を振って断りました。

 

イスタンブールカードのチャージをしようとして機械の操作に戸惑っていると、中学生ぐらいの女の子が横に来て、ああしてこうして、といろいろ教えてくれるのです。おかげでチャージができて礼を言って行こうとしたら、「お腹がすいているからお金ください。」お腹がすいている割には肥えた子だったけど。「コインだったらあげるよ。」というと、「コインはいらない。お金ちょうだい。」物乞いも贅沢です。

 

トルコではロマ(かつては「ジプシー」と呼ばれていましたが、最近は「ジプシー」は差別用語と認識されるようになり、「ロマ」に置き換えられる傾向があるようです。)も大勢見ました。

何故かはわからないですが、ロマの女性は必ず幼い女の子を連れています。ロマがみんなスリや物乞いをしている訳ではないでしょうが、その貧しい身なりを見ると気の毒で、何かしてあげなくてはと思わせます。実際、車が通る道ばたで何か食べているロマにお金をあげている観光客がいました。

 

タクシーでベルガマの街を走っているとき、「ロマの住んでる区画」という場所を通りました。いかにも貧しい生活が見える区画でした。ロマが多いという意味でやはりトルコはヨーロッパに近いと感じます。

 

 

 

 



トルコは犬猫天国!?

トルコには犬と猫が多いというのはYouTube等で事前に知っていましたが、実際に来てみると予想以上でした。こんなに犬猫の多い国は他に知りません。

 

犬は道をよたよたと歩いているか、グデーと横になっているかのどちらかです。無防備に寝ている犬を見ると、誰からも襲われたりしないことを知っているかのようです。

公道の真ん中で堂々と寝る犬 イスタンブールにて

イスタンブール旧市街を歩く犬

公園で寝る犬

イスタンブールの早朝

建物の陰で寝る犬 イズミルにて

トラムに普通にペットのポメラニアンと乗る乗客


遺跡にも必ずそこに住み着いている犬や猫がいました。

トロイの遺跡で

観光客にえさをねだる犬 トロイの遺跡にて

耳に札をつけているのは狂犬病のワクチン接種済みの印だそうです。

 

どの犬も全く吠えないのはそう訓練されているのでしょうか。人間に危害を加える様子はありません。しかし体の大きな犬も多くて、近寄ってくると恐怖を感じます。

 

イズミルアゴラに住む犬

エフェソス遺跡に住む猫

エフェソス遺跡に住む犬と猫

ペット用の飲料水と書かれていました。ペットが大事にされているのがわかります。

イズミルの公園にて

階段を占領する犬 カッパドキアのドミトリーにて

イスタンブール市街

トルコのレストランはほとんどオープンテラスになっていて、犬猫も普通にレストランに入ってきます。店の側も全く気に留める様子はなく、逆に餌をやったりしています。

セルチュクのアリさんの店で

カッパドキアのレストランで

テーブルの上まで登ってくる傍若無人な猫もいました。

イスタンブールのレストランで

階段にたむろする猫8匹

ホストのエリフさんの7匹の猫は全て野良猫を拾ってきたとのこと。

7匹のうち2匹は私が借りた部屋を自分の部屋と思っているらしく、油断をするとベッドを占領されていました。

 

そしてもう一つ忘れられない光景があります。アンカラ高速鉄道駅4Fにファーストフード店がたくさん入ってましたが、外から鳩が何羽も来ていて、客がテーブルの上に残した食べ物をつついていたのです。それを誰もが気にすることなく見ていました。トルコには動物愛護の精神が行き渡っているのではないかと思いました。

イスタンブールでハマム体験

トルコに行ったらハマム(岩風呂あるいは蒸し風呂?)を体験してみたいと思っていました。事前にネットの情報とかYouTubeなんかも見てました。

 

エリフさんにイスタンブールで何をしたいですか、と聞かれ「ハマムに行ってみたい」と答えると、「私がよく行くハマムがあるから紹介しますよ。通常外国人は1450リラだけど、私が言うと950リラに割引してくれます。」というので、お願いすることにしました。エリフさんはその場で電話で予約を入れてくれました。そのハマムは時間制で予約を入れないとダメなようです。また男性と女性で時間交代制になっているようです。

 

エリフさんはそのハマムまで一緒に行ってくれました。

何と1580年開設の歴史あるハマムでした。

 

待合室はこんな様子

人を写さないように上を向けて撮りました

順番を待っていると時間になってロッカー室を案内されました。

 

ここから先はカメラが入れないので文章だけになります。

ロッカー室で素っ裸になり腰巻きとスリッパだけつけて出てきます。何となく頼りない感じです。蒸気に満ちたハマムのその部屋は総大理石張り。そこに連れて行かれると、毛むくじゃらのおじさんが出てきて頭からお湯をかけられました。お湯は気持ちいいです。その後、6角形の台座のようなところに、頭を中心において寝るように言われます。蒸し風呂に慣れるためでしょうか。何人かが順番待ちで寝ています。

順番がきたところで、今度はお腹がでっぷりと出たおじさんが壁側の台座に座るよう誘います。このおじさんが私の担当のようです。お湯を頭からかけながらマッサージ、そのあと特殊な手袋のようなもので全身をこすると、自分でもびっくりするくらい垢が出てきました。泡袋のようなもので全身を泡だらけにし、洗っていきます。お湯をかけたり泡袋で泡まみれにしたりしながら30分くらい全身を(局部を除いて)洗われました。

 

一応これで終わりですが、あとは待合室に戻って飲み物を飲みながら全身を冷ます、という感じです。入店してから出てくるまで1時間半くらいの時間でした。

 

感想を言うと、お湯をかけられるのは気持ちがいいけど、やっぱり湯船に入りたいし、人に洗われるより自分で洗いたい。一回体験したらもう十分かな、という感じです。

 

イスタンブールで民泊体験

6月9日10日の2泊は、airbnbを使って初めて民泊というものを使ってみました。

イスタンブル中心部にある、海の景色を楽しめる部屋」という惹句に惹かれ予約した部屋は2泊で7311円。ホストはエリフさんとういう女性でした。スーパーホストに指定されているので評判のいい方だと思われます。

鍵をどうやって受け取るかのやりとりもairbnbが翻訳してまで仲介してくれます。何回もやりとりした後、マンションの向かいの雑貨屋さんから鍵を受け取るということになり、本人が帰ってくる前に部屋に入りました。

 

エリフさんの貸し出し条件は「ペットの猫をかわいがること」。猫は一匹かと思ったら、何と7匹飼ってました。

居間からは確かにボスポラス海峡が見えました。

 

夜のボスポラス海峡の眺めも素敵です。


長い間ホストをやってて、日本人は初めてということでした。日本人の印象を悪くしてはいけないと気を遣います。

村上春樹が好きだそうで本を見せてくれました。村上春樹トルコ語訳はたくさん出ているということです。世界中にファンがいるのですね。

トルコ語版「1Q84」 1200ページを超える厚さです。

2日で読み切ったそうです。

本人はかなり流暢な英語をしゃべります。私の拙い英語も一生懸命聞いてくれました。

いろいろ話をしていて興味深いことを聞きました。

エリフさんは「私は宗教は嫌いです。」とはっきり言うのです。トルコ人の半分はムスリムじゃないそうで、敬虔なムスリムは人口の10-15%しかいないそうです。「私はムスリムです。」と言う人でも、お祈りをしなかったり戒律を守らなかったり、要するにルーズなムスリムが多いらしい。トルコが世俗主義の国ということは聞いていましたが、よりはっきりとしました。

 

2日目には夕食をシェアしようと言ってごちそうしてくれました。ベジタリアンのメニューでした。

サラダ、ポテト、きのこ、干し果物

貸し出している2部屋のうち、もう一部屋はグアテマラの青年が3泊4日で使っていましたが、夜遅く帰ってきたり、部屋にこもってリモートワークをやったりしているらしく、1回しか顔を合わすことがありませんでした。

 

地元の人とふれあう機会が生まれるという点で、民泊というのもこれからはありかな、と思います。費用も安いし、今回の旅で一番快適に過ごせました。

 

 

 

イスタンブール最終日

6月10日(土)

 

最終日の今日、サバサンドをもう一度食べたくてガラタ橋まで来ました。でも先日の店はまだオープンしてなくて違う店で食べました。

サバサンド

味が物足りなくて、最初の店のものが良かったです。

トラムに乗ってグランド・バザールに行ってみました。

グランド・バザール入口

縦横の広がりがすごく、観光客も大勢です。宝飾品、トルコ雑貨、服飾品、絨毯、菓子など様々な商品が並んでいます。坂の都らしく地面全体が傾斜しています。

グランド・バザール

グランド・バザールは早々に引き上げてスレイマン1世のモスクに来ました。

スレイマニエ・モスク

スレイマニエ・モスクの中

レイマン1世の棺

ボスポラス海峡を船で渡ってみることにしました。ボスポラス海峡をクルーズするツアーもありますが、費用が馬鹿にならないのでやめました。市民の足になっている船を使って小さく旅します。

アジア側のカデキョイに渡る船

船内の様子

30分の船旅でした。

 

カデキョイ

今度はボスポラス海峡を北上し、アジア側の新市街、カラキョイに船で渡ります。

ボスポラス海峡

この海峡は今、ウクライナの貨物もロシアの貨物も通る、国際的に注目される場所です。

 

25分でカラキョイに着きました。カラキョイから歩いてすぐのところにドルマバチェフ宮殿があるので行きました。ドルマバチェフ宮殿は19世紀にトプカプ宮殿にかわってオスマン帝国の王宮になったところです。

ドルマバチェフ宮殿

入場料を払ってまで中に入るのはやめました。

この場所からの海峡の眺めも最高です。

 

 

世界遺産 イスタンブール歴史地域

6月9日(金)

 

夜行列車がイスタンブールのアジア側の停車駅についたのは予定より1時間遅れの6時半でした。そこからヨーロッパ側に渡るのに迷いに迷い、結局トプカプ宮殿に着いたのは9時開館前の直前でした。トプカプ宮殿の入場料は今までで最高額の650リラ、さらにハレムに入るには別料金の225リラがかかり、合計875リラ(6125円)となりました。

旅行の直前にトルコのTVドラマ『オスマン帝国外伝』全312話を一気見してきたので、ドラマの舞台となるトプカプ宮殿は特に思い入れのある場所です。

皇帝の門

皇帝の門を入ったところで入場料を払います。

挨拶の門

この門を抜けると宮廷内になります。

幸福の門

謁見の間

ハレムに入って、TVドラマでよく見た馴染みのある景色がありました。

母后の部屋

女官たちの大部屋

女官たちのハマム(風呂)

スルタンのハマム(風呂)

スルタンのトイレ

宝物殿。一番の混雑場所がここでした。オスマン英国時代のお宝が展示されています。

 

預言者ムハンマドの足形」と書かれているが本当だろうか

預言者の手紙」

 

預言者ムハンマドの娘ファティマの服



どちらも「7世紀の預言者ムハンマドの靴」と書かれている

宮殿のキッチン。

キッチン

キッチン

独仏露中国など各国から取り寄せた陶磁器のなかに、一つだけ日本製を見つけました。

日本製陶磁器


トプカピ宮殿に隣接するアヤ・ソフィアに行きました。

 

アヤ・ソフィア外観

西暦360年に建てられたというから日本では古墳時代のことです。その時代にこの大聖堂を建てる力があったというのはすごいことです。オスマン帝国時代にモスクに作り替えられ、共和国になってから博物館になったが、現エルドアン大統領はイスラム回帰政策で2020年にまたモスクに変えてしまいました。博物館の時代は入場料がかかりましたが、モスクになってからは入場料は無料です。荘厳な装飾に圧倒されます。

 

キリスト教の壁画がそのまま残っています。

中は信者なのか観光客なのかわからないですが、密な混雑です。中に入っていくと身動きがとれなくなります。

近くの地下宮殿に行きました。30分の行列待ちです。

東ローマ帝国時代の貯水池です。

メドゥーサの首が2本の柱の土台に使われています。

現代アートの展示場としても利用されています。

 

夕食はチキンのケバブ。どうしても安いものを選ぶと巻いたチキンのケバブになってしまいます。

海が近いので海岸に出られないか探っていたところ、ガラポートという港湾施設から海岸に出られました。

ボスポラス海峡

大型客船が1隻停泊していました。この港には最大3隻の大型客船が留まれるそうです。

ここはデートコースにもなっているようです。

世界遺産 ハットゥシャ遺跡

6月8日(木)

 

実は今回の旅で一番来たかったのはこのヒッタイトの都、ハットゥシャ遺跡です。ヒッタイトは世界で初めて鉄器を使ったことで知られていますが、まだわかってないことも多く、だからこそ興味が引かれます。

日本のヒッタイト研究の第一人者、大村幸弘氏の講演会が3月に福岡であり聞きに行きました。大村氏は30年以上カマン・カレホユックというヒッタイトの遺跡の発掘を行っていますが、1年で掘るのは30cmとのこと。大村氏によると、一つの遺跡には50-60の都市が積み重なっているといいます。一つの都市が滅んでも、そこに水があるから新たな都市がその上に形成されるということです。

 

まずバイカルさんが車で10分くらいのヤズルカヤ遺跡に送ってくれました。ヤズルカヤはヒッタイトにとって聖なる場所だったそうです。

神殿の入り口

 

とんがり帽子の12神

この神殿で最も高位の神

次にハットゥシャ遺跡にも車で送ってくれました。

入口に目立つのはJTが資金援助して建てたという城塞です。当時は周囲6キロの城塞が都を守っていたということです。

復元された城塞の一部

JTといえば、トルコは異様に喫煙率の高い国です。歩きたばこもポイ捨てもよく見ます。JTと何かの関係があるのか。。。

周囲6キロの城塞跡を約2時間半かけて歩いて回りました。

かつて栄華を誇った都も牛の放牧場と化していました。

山羊と羊も放牧されていました。

獅子の門

左側は損傷が激しかったため一部復元されています。

城の外に出るトンネル

トンネルの上にスフィンクス門があります。

スフィンクス

両方とも白いのはレプリカだからです。

王の門(レプリカ)

城塞は平面ではなく斜面に建てられており、一番高い場所に王の居住跡がありました。

ボアズカレ村のほうを望む

このあたりは緩やかな丘陵になっており、これなら戦車を率いて遠征するのも難しくないと感じました。

3500年以上前の遺跡だからやむを得ないですが、城塞と住居の石垣しか残っていません。でもその地を実際に歩くということが貴重な体験だと思うのです。2時間半のハイキングの間、観光客といえば車でガイドさんらしき人と来ていた女性一人でした。

 

ハットゥシャ遺跡を後にし、今日中にイスタンブールに戻ります。

スングルルまでバイカルさんに車で送ってもらいました。そこからアンカラまでは長距離バスで。アンカラからイスタンブールまでは夜行列車に乗ります。アンカラから高速鉄道(YHT)に乗るという手もありましたが、高速鉄道代+宿泊代>夜行列車代なので、夜行列車を使うことにしました。チケットはイズミルで買っておきました。

夜行列車の発車時間は22:00なのでまだ大分時間があります。

アンカラでは是非行っておきたい場所がありました。アナトリア文明博物館です。

アナトリア文明博物館入口

1997年の「ヨーロッパ博物館年間アワード」を受賞したと書かれていました。

確かに今まで見てきた博物館と比べて質量ともに抜きん出ています。特にヒッタイト関連の収集品は圧巻です。

 

ハットゥシャ遺跡の「王の門」の実物

楔形文字で書かれたヒッタイト文書

後期ヒッタイト時代の巨石

閉館間際に来たため40分しか観覧する時間がありませんでした。

 

アンカラ駅に早めに着きましたが、タクシーで連れて行かれたのは高速鉄道の駅だと後からわかりました。

アンカラ駅(高速鉄道駅)

できたばかりのようで、中は広々としていてきれいでした。

チェーン店でケバブを注文し、コーヒーを飲んだりして時間を潰します。4階テラスは外に開放されていて、アンカラの町を見下ろしながら飲食できる特等席です。

4階テラス

夜行列車は反対側の駅舎から出るとわかり、あわてて移動しました。もう列車は着いていました。

イスタンブール行き夜行列車

寝台車の通路

今夜のベッド

2段ベッドを独り占めできました。冷蔵庫にはスナック菓子とジュース。洗面台も付いていて外に顔を洗いに行かなくてすみます。